重金属の排出原因と毒性

過去には、「ヒ素入り粉ミルク中毒事件」、熊本県水俣湾沿岸と新潟県阿賀野川河口で起きた「メチル水銀中毒」、富山県神通川流域のカドミウム汚染が原因と考えられる「イタイイタイ病」など、深刻な重病が問題になりました。

カドミウムや水銀は、生物体内に入ると代謝経路が確立されていないため排出が困難になり、体内に蓄積してしまいます。 これらの有害重金属は毒性が強く微量でさえも影響が出てしまいます。
また、微量必須元素であっても環境中の濃度が高くなれば生物にとって有害となってしまいます。

重金属汚染物質の原因と毒性

物質名 排出原因 主な毒性 疾病
カドミウム、
及びその化合物
合金、顔料、蓄電池 嘔吐、めまい、腎不全、骨軟化、
発ガン性
イタイイタイ病
六価クロム化合物 メッキ、印刷、クロム鉱 嘔吐、下痢、肝炎、発ガン性  
シアン化合物 化学繊維、メッキ、タイヤ 呼吸麻痺、失神、痙攣  
水銀、
及びその化合物
体温計、蛍光灯 手指の震え、腎障害  
アルキル水銀 肥料、医薬品、農薬 知覚言語障害、運動障害 水俣病
セレン、
及びその化合物
電子部品、顔料、薬剤 嘔吐、胃腸障害、貧血  
鉛及びその化合物 自動車のバッテリー、
はんだ、メッキ
嘔吐、下痢、感覚障害、
発ガン性の疑い
 
ヒ素、
及びその化合物
医薬品、農薬 嘔吐、下痢、黒皮症、筋肉の弱化、
発ガン性
ボーエン病
フッ素、
及びその化合物
ガラスのつや消し、金属の研磨剤 呼吸器障害、歯骨への影響  
ホウ素、
及びその化合物
半導体、音響機器、医薬品 嘔吐、神経障害、下痢